成田 富里 税理士 『税理士法人 成田綜合事務所』

新着情報

仮想通貨のハッキングに係る補償金の課税関係

いわゆるコインチェックのハッキングに係る補償金の取扱いが、昨日国税庁より公表されました。
補償金が課税か非課税かの点については、「仮想通貨を売却したことにより金銭を得たのと同一の結果となることから、本来所得となるべきもの又は得られたであろう利益を喪失した部分が含まれている」と考えられ、非課税の損害賠償金ではなく雑所得として課税されることとなりました(所法35、36)。
なお、損失の場合には、雑所得同士での内部通算が認められる旨の記載がありますが、損益通算が出来ないことは従来通りです。
今後、同様の事例が生じるかは不明ですが、仮想通貨取引は株式や先物取引の分離課税ではなく総合課税です。予想外の利益が出てしまった場合に、様々な節税対策を利用する上でも青色申告書を提出できる所得構成にしておいた方が何かと有利です。詳しく知りたい方は是非ご連絡下さい。お待ちしております。

参考)
国税庁 No.1525仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合

仮想通貨の税務上の取扱いー現状と課題ー 税務大学校研究部教育官 安河内 誠

平成30年度税制改正大綱

与党による平成30年度税制改正大綱が14日に発表されました。中小企業や個人において、特に注目すべき改正項目を列挙しておきます。

1 個人所得課税
(1)給与所得控除の見直し
 ① 控除額を一律10万円引き下げる。
 ② 給与等の収入金額が850万円を超える場合の控除額は、195万円。
(2)公的年金等控除の見直し
 ① 控除額を一律10万円引き下げる。
 ② 公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合の控除額は、195万5千円
(3)基礎控除の見直し
 ① 合計所得金額が2,400万円以下の場合、控除額は48万円。
 ② 合計所得金額が2,400万円超2,450万円以下の場合、32万円。
 ③ 合計所得金額が2,450万円超2,500万円以下の場合、16万円。
 ④ 合計所得金額が2,500万円超はゼロ円
(4)所得控除に係る合計所得金額要件の見直し
 (3)の改正により、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、勤労学生控除の合計所得金額要件を見直す。
(5)青色申告特別控除
 ① 正規の簿記の原則に従って記録している者の青色申告特別控除額を55万円(現在65万円)に引き下げる。
 ② e-TAXによる申告書を提出している等一定の要件を満たしている場合には、控除額は65万円。
(6)家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例
 (5)の改正により、必要経費に算入する金額の最低保障額を55万円(現在65万円)に引き下げる。

2 資産課税
(1)事業承継税制の特例の創設等
 非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予の特例制度の創設
 後継者が、経営者から贈与・相続・遺贈により非上場株式を取得するなど一定の要件に該当する場合には、その取得した全ての非上場株式に係る課税価格に対応する贈与税又は相続税の全額について、後継者の死亡の日等まで納税猶予する。
(2)一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し
 特定の一般社団法人等の理事が死亡した場合には、その一般社団法人等の純資産額のうち一定の金額を、死亡した理事から遺贈により取得したものとみなして、その一般社団法人に対し相続税を課することとする。
(3)土地の相続登記に対する登録免許税の免税措置の創設

3 法人課税
(1)中小企業における所得拡大促進税制の改組(所得税も同様)
 一定の方法により計算した賃上げ割合が1.5%以上であるときには、給与支給増加額の15%の税額控除ができることとする。
(2)収益の認識基準について
 従来から法人税法22条と通達による運用がなされておりましたが、今回の改正により法令上明確化する(IFRS関連)。

4 消費課税
(1)農林水産業の簡易課税制度について
 消費税の軽減税率が適用される食用の農林水産物を生産する事業は第2種事業とし、みなし仕入率を80%(現在70%)とする。
(2)たばこ税率の引上げ、加熱式たばこの課税方式の見直し

5 国際課税
(1)恒久的施設関連規定の見直し
 ① PE定義の見直しを行う。
 ② 租税条約上のPEの定義と異なる場合の調整規定等の整備。
(2)外国子会社合算税制等の見直し

6 その他
(1)森林環境税の創設
 市町村が実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、平成36年度から年額1,000円を課する。
(2)国際観光旅客税の創設
 船舶や航空機により海外へ出国する一定の者については、出国1回につき1,000円を課する。

ビットコイン等の仮想通貨に係る個人の課税関係

ビットコイン等の仮想通貨に係る課税関係については不明確な状態が続いておりましたが、平成29年度の確定申告において混乱が予想されるためなのか、今月の1日に国税庁個人課税課から情報が公表されました。

仮想通貨の売却や仮想通貨による商品購入、仮想通貨の交換等に際しての取得価額は有価証券と同様に移動平均法や総平均法によることとされました。
言葉では分かりやすいよう簡易に記載されておりますが、1,000種類以上あるといわれる仮想通貨が、交換や分裂、マイニングにより日々増加している中、種類ごとに捕捉して取得価額を算定することが個人でできるのだろうか、という疑問は残ります。

個人の所得分類に関しては、原則雑所得とされておりますが、仮想通貨による収入によって生計が成り立っているなど客観的に明らかである場合等、事業として認められるときには、事業所得として分類されることとされました。この辺りは青色の特典や損益通算の可否の問題と関係してきますので、事業所得に分類される方は注意が必要です。

損失については、情報のとおり雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は損益通算できませんが、雑所得と損益通算について誤認される方が多いように感じます。あくまで雑所得の金額の計算上生じた損失の金額が損益通算できないだけであって、事業所得の金額の計算上生じた損失の金額と雑所得による利益とは損益通算できます。
例えば、ビットコインの売却による利益が1千万円あり、太陽光発電設備の購入で即時償却(現在でも可能な法律あり)して1,000万円の事業所得の損失を出せば、当年の所得はゼロとなり税金もゼロです。
なお、仮想通貨において損失が生じた場合として、ハッキングにより仮想通貨が消滅する等のケースも考えられます。仮想通貨の種類によっては証明が難しいケースもあるかもしれませんが、被害前後の取引所の残高を保存するなど証拠書類は残しておく必要はあるでしょう。

今月アメリカのシカゴオプション取引所でビットコインの先物取引が開始されましたが、FXの証拠金取引のように先物取引に係る雑所得等として分離課税されるのか。この点に関しては、商品先物・金融商品取引法等に基づき行われる取引のうち適用対象が限定列挙されているため、仮想通貨の証拠金取引は、これらいずれにも該当しないことから対象とはならないとのことです。したがって、分離課税ではなく総合課税として申告することとなります。

東京国税不服審判所の見学会

公開研究討論会の研究員と東京国税不服審判所の見学会へ行ってきました。
国税不服審判所は裁判所のように傍聴できるシステムがないため、審判所内のどこでどのように審議しているのか分かりませんでしたが、実際に見学してみると、3人用長机にパイプ椅子という公民館によくある会議室で審議等が行われており、こんなものかと拍子抜けしてしまうほど質素でした。


入り口。
麹町税務署も同じビルに入っております。ちなみに、麹町税務署は全国にある税務署の中でも格が高いと言われており、国税職員にとってはどこに勤めていたかが重要らしく、税務署の異動時期には常にその話で持ち切りです。
余談ですが、勤務先の税務署における先輩後輩の上下関係はとても厳しく、退職後に登録した税理士会においてでさえ、その厳しい掟が続きます。
とても理解できない世界なのですが、部外者という気楽さもあるため、税理士会の飲み会などで国税OBの方が後輩に厳しい対応をしていると、「また、○○先生、いじめてるわ~、怖い怖い」といじって先輩OBの方の反応を楽しんでます。
また、税務調査のときに、国税職員の方は退職後も税理士会や桜友会(国税OBの税理士の会)で先輩からいじめられて気の毒ですね〜?と冗談半分で言うと、苦笑いを浮かべるか静まりかえるかのいずれかの反応が返ってきます(笑)


窓からお堀が見える場所にあります。
東京国税不服審判所長の挨拶から始まり、審判所の概要説明(審判所の組織、審査請求手続き、透明化施策の取組み、裁決結果の公表など)、行政不服審査法の改正に伴う国税通則法の改正内容の解説、所内見学やビデオを見た後、税理士出身の審判官との座談会が行われました。

図書室
審判所内の図書館。
大崎にある日本税理士会館の図書館と比べてはいけないのかもしれませんが、狭くて文献も少ないです。実務書に関して言えば、弊所の方が充実しているかも?
せめて、非公表の裁決事例が閲覧できるようになれば、ここの有用性も高まるのですがね。
現在、審判所における裁決要旨は全件公表されておりますが、全文公表されているものは50件程度に過ぎません。情報公開法に基づく開示請求により非公表の裁決を入手することもできますが、インターネットでいくらでも情報を得られる時代であることを考えると、全文公表数をもっと増やすなり、利便性や透明性を高めて頂きたく思います。

地下にある食堂
この合同庁舎の地下1Fには食堂があり、麺類から和洋定食などワンコインからリッチなものまで様々。バラエティに富んでいるのはいいですね。各種類ごとにレーンがありそれに従って並ぶシステムですが、イマイチどこに並ぶのか分からず大まかに並んでいたら、お兄さんがこちらですよ!と優しく教えて下さいました。
きっとこの優しいお兄さんは、麹町税務署か東京国税不服審判所関係の方でしょう(笑)。

日税連公開研究討論会・新潟朱鷺メッセ2

翌日は福島潟へ行ってきました。山岳地帯もいいですが、里山の風景はホッと一息つけて癒されますね。まだ、オオヒシクイやコハクチョウは来ておらず見られませんでしたが、久しぶりにカラカネイトトンボを見ることが出来ました。

福島潟
水の駅「ビュー福島潟」より。壮観ですね。

オニバス
いつか見てみたかったオニバス。直径1m以上のものもありました。環境省絶滅危惧Ⅱ類(VU)

オニバスの花
オニバスの花。トゲトゲの針が凄いです。亜高山帯に生育するハリブキを思い出します。

オニバスの実
オニバスの実。鳥のヒナがエサをねだっているようですね。

ガチョウ
ガチョウの首を束ねたような・・・。

ヨシゴイ
ヨシゴイがいました。

ミズアオイ
ミズアオイがきれいに咲いていました。これもずっと見たかった花です。環境省準絶滅危惧(NT)

アサザ
一輪だけアサザが咲いていました。環境省準絶滅危惧(NT)

角田山
海沿いにある角田山へ登山してきました。角田岬灯台からの灯台コースは人も多く賑やかでしたが、帰りの桜尾根コースは誰にも会わず静かなルート。

角田山
写真のように一部岩場もあります。

日税連公開研究討論会・新潟朱鷺メッセ1

本年の日税連公開研究討論会の論文発表は、新潟の朱鷺メッセ新潟コンベンションセンターにて開催されました。
テーマは東京地方会が「租税徴収制度の現状と課題」、千葉県会が「借地権課税を巡る諸問題」、関東信越会が「税務情報について」となっております。

新潟朱鷺メッセ
朱鷺メッセ31F展望室より。新潟市内と日本海を眺望できます。

朱鷺メッセ会場
全国から集まった参加者は1600名程。会場は相当広いとプレッシャーをかけられておりましたが、実際に見てみると7年前に発表した幕張メッセの国際会議場に比べて小さかったため、随分と気が楽になりました。

バスセンター
発表も無事終了したので(二日酔いが抜けずピンチでしたが、なぜか今までで一番良くできました)、新潟市のB級グルメで有名なバスセンターのカレーを食べに。

バスセンターのカレー
この後慰労会が控えていたので380円のミニサイズをチョイス。真っ黄色のカレーで案外香辛料が効いてます。一風変わった独特の辛みが特徴的。
昔はそばが有名だったそうですが、今はこのカレーを求め昼間は行列になるとのこと。夕方にはご飯がなくなって終了してしまうらしいです。

ホテルイタリア軒
こちらは宿泊したホテルイタリア軒のカレーとハヤシライスのハーフ(裏メニュー)。イタリア軒は、創業140年の歴史を持ち、創業者であるイタリア人のピエトロ・ミリオーネさんがカレーを新潟に広めたそうです。
バスセンターのカレーとイタリア軒のカレーが同じ色なのも関係があるのでしょうか?
新潟市が日本で最もカレーを食べる地域だとは知りませんでしたが、偶然にもA級とB級の両方を食べることが出来てラッキーでした。

日本海
おまけ
発表前日は午後からリハーサルでしたが午前中の予定はなかったため、日本海でサーフィンをしてきました。冬以外、穏やかなイメージがありましたが、偶然見つけたポイントは胸肩、セットで頭と想定外のビッグサイズ。ただ、外房と異なり、湘南のようにメローでいい波でした。

論文の発表まで1ヶ月

借地権に関する論文もようやく出来上がりまして、残すは10月の新潟での発表に向けた原稿を作成するのみとなりました。
今回は、クロス・ウェーブ船橋にて2日間の合宿が行われ、初日は夜の10時近く、翌日も夕方4時まで缶詰状態で議論し続けました。模擬的に行った発表も上々の仕上がりとなりまして、さすが千葉県の精鋭が集まっているだけのことはあるなと感心致しました。
みなさま、二日間本当にお疲れ様でした。
本番では、私が足を引っ張らないよう噛まずに喋る練習をしなければ(汗)

成田市東商工会研修会講師

昨年に引き続き、本年も成田東商工会から研修会講師の依頼があったため、総会の会場である醍醐へ行ってきました。
本年は事務局からの依頼というより、会員の方からのリクエストで私が選ばれたということもありましたので、メインテーマは消費税軽減税率でしたが、税金の還付と節税というテーマを別枠に設け、講義をさせて頂きました。
昨年は様々な消費税還付スキームの話がうけましたので、今年は法人税、所得税、相続税、贈与税について身近な話題を中心に事例形式で進めて行きました。
昨年も講師をしていて顔馴染みになったためか、疑問質問を多数出して頂き、活発な議論をすることができました。
とかく研修会は座学で疲れてしまいますが、肩肘張らずに、お互い税金や経営の話、相続贈与の話し合いが出来るというのはいいことですね。このような機会を設けてくださった成田市東商工会様には感謝申し上げます。


割烹料理の醍醐さん。玄関の広間に、美しいカエデの柱がありました。

法定相続情報証明制度

平成29年5月29日から、全国の登記所(法務局)において、各種相続手続に利用することができる「法定相続情報証明制度」がスタートしました。この制度を利用し「法定相続情報一覧図の写し」の交付を受けることにより各種相続手続が可能となり、戸籍謄本を何度も出し直す必要がなくなります。
なお、相続税申告に際しての添付書類として活用されるためには税制改正が必要となるため、現時点では従前通りとなります。

最高裁判決 相続税対策としての養子縁組について

本件は、養子縁組が相続税の節税のためになされたものであり、縁組みをする意思を欠くものであるとして相続人間で争われた事案(最判平29.1.31)。

原審の東京高裁は、被相続人と孫との間の養子縁組が、専ら相続税の節税のためにされたものであるとして、民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たると判断していました。
これに対し最高裁は、相続税の節税の動機と縁組をする意思とは、併存し得るものであるとし、専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組みをする意思がないとき」に当たらないとして原判決を破棄しました。

これにより節税目的として養子縁組をしていた場合であっても縁組が無効とされることはなく、よって、従来通り相続税法上の適用はあるわけですが、そもそも今回の裁判は国との租税訴訟ではなく相続人間のトラブルに起因するものであります。

相続税の節税対策も重要ではありますが、養子縁組に関しましては、相続人間で遺留分など遺産分割上の問題の発生、養親養子間での不仲、養子の非行、娘婿が養子に入るも離婚するなど、トラブルは意外とございます。
養子の節税メリットとしては、被相続人に実子がいる場合に法定相続人が一人増えるため(実子がいない場合は二人)、基礎控除額が一人当たり600万円増え、保険金や退職金からもそれぞれ500万円控除できますが、孫養子が財産を取得した場合、相続税額の2割が加算されてしまうなど、トラブルを考えると金額的に余りメリットがない場合もございますので、縁組に関しましては慎重に対応して頂くことをお勧め致します。