成田 富里 八街 佐倉 税理士『成田綜合事務所』

新着情報

令和5年度税制改正大綱

与党税調による令和5年度税制改正大綱が12月16日に公表されました。
個人や中小企業者等に関係する改正事項のうち、特に気になるものをまとめておきましたが、本年も相続税・贈与税につきましては、抜本的改正はなされておらず、消費税についはインボイス制度がメインとなりますが、税理士会等からの指摘や要望に基づき修正したものも何点か見受けられました。どうも消極的で付け足しや妥協による改正が目につき、いつものことですが、より税務判断が複雑化して一般納税者には分かりづらい改正になってしまったように感じます。
また、書面からデータ化への過渡期でもあり難しい局面であることはよく分かりますので、検討事項にあった下記の整備につき期待したいところです。これは税務会計に限定されるものではなく、日本全体のあらゆる事象に関わる問題と考えます。
「帳簿等の税務関係書類の電子化を推進しつつ、納税者自らによる記帳が適切に行われる環境を整備することが、申告納税制度の下における適正・公平な課税の実現のみならず、経営状態の可視化による経営力の強化、バックオフィスの生産性の向上のためにも重要であることに鑑み、記帳水準の向上、トレーサビリティの確保を含む帳簿の事後検証可能性の確立の観点から、納税者側での対応可能性や事務負担、必要なコストの低減状況も考慮しつつ、税務上の透明性確保と恩典適用とのバランスも含めて、複式簿記による記帳や優良な電子帳簿の普及・一般化のための措置、記帳義務の適正な履行を担保するためのデジタル社会にふさわしい諸制度のあり方やその工程等について更なる検討を早急に行い、結論を得る。」

1、個人所得課税
災害に係る損失の繰越控除制度の見直し
 被害が極めて甚大で広範な地域の生活基盤が著しく損なわれ、被災前のように生活の糧を得るまでに時間を要するような災害の被災者や被災事業者に特に配慮する観点から、特定非常災害法上の特定非常災害による損失に係る雑損失及び純損失の繰越期間について、損失の程度や記帳水準に応じ、例外的に3年から5年に延長する措置を講ずる。

2、資産課税
(1)相続時精算課税の見直し
① 相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、現行の基礎控除とは別途、課税価格から基礎控除110万円を控除できることとするとともに、特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算等をされる当該特定贈与者から贈与により取得した財産の価額は、上記の控除をした後の残額とする。
②相続時精算課税の下で受贈した財産の価額は、相続税の課税価格の計算上、贈与時点の時価で固定されるが、土地・建物について、災害により一定以上の被害を受けた場合には、例外的に、相続税の課税価格を再計算する。
(2)生前贈与加算の期間の見直し
 相続又は贈与により財産を取得した者が、その相続の開始前7年以内(現行3年以内)にその相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、その贈与により取得した財産の価額(その財産のうちその相続の開始前3年以内に贈与により取得した財産以外の財産については、その財産の価額の合計額から100万円を控除した残額)を相続税の課税価格に加算することとする。

3、消費課税
適格請求書等保存方式に係る見直し
(1)適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置
①適格請求書発行事業者の令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、免税事業者が適格請求書発行事業者となったこと又は課税事業者選択届出書を提出したことにより事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる場合には、その課税期間における課税標準額に対する消費税額から控除する金額を、その課税標準額に対する消費税額に8割を乗じた額とすることにより、納付税額をその課税標準額に対する消費税額の2割とすることができることとする。
②適格請求書発行事業者が上記①の適用を受けようとする場合には、確定申告書にその旨を付記するものとする。
③上記①の適用を受けた適格請求書発行事業者が、その適用を受けた課税期間の翌課税期間中に、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を納税地を所轄する税務署長に提出したときは、その提出した日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を認めることとする。
(2)1万円未満の少額仕入れに係る税額控除
 基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、その課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存による仕入税額控除を認める経過措置を講ずる。
(3)支払手数料の値引き問題への対応
 売上げに係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、その適格請求書の交付義務を免除する。

4、納税環境整備
加算税(加算金)制度の見直し
無(不)申告加算税(金)の割合(現行:15%(納付すべき税額が50万円を超える部分は20%))について、納付すべき税額が300万円を超える部分に対する割合を30%に引き上げる。

comment closed