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ビットコイン等の仮想通貨に係る個人の課税関係

ビットコイン等の仮想通貨に係る課税関係については不明確な状態が続いておりましたが、平成29年度の確定申告において混乱が予想されるためなのか、今月の1日に国税庁個人課税課から情報が公表されました。

仮想通貨の売却や仮想通貨による商品購入、仮想通貨の交換等に際しての取得価額は有価証券と同様に移動平均法や総平均法によることとされました。
言葉では分かりやすいよう簡易に記載されておりますが、1,000種類以上あるといわれる仮想通貨が、交換や分裂、マイニングにより日々増加している中、種類ごとに捕捉して取得価額を算定することが個人でできるのだろうか、という疑問は残ります。

個人の所得分類に関しては、原則雑所得とされておりますが、仮想通貨による収入によって生計が成り立っているなど客観的に明らかである場合等、事業として認められるときには、事業所得として分類されることとされました。この辺りは青色の特典や損益通算の可否の問題と関係してきますので、事業所得に分類される方は注意が必要です。

損失については、情報のとおり雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は損益通算できませんが、雑所得と損益通算について誤認される方が多いように感じます。あくまで雑所得の金額の計算上生じた損失の金額が損益通算できないだけであって、事業所得の金額の計算上生じた損失の金額と雑所得による利益とは損益通算できます。
例えば、ビットコインの売却による利益が1千万円あり、太陽光発電設備の購入で即時償却(現在でも可能な法律あり)して1,000万円の事業所得の損失を出せば、当年の所得はゼロとなり税金もゼロです。
なお、仮想通貨において損失が生じた場合として、ハッキングにより仮想通貨が消滅する等のケースも考えられます。仮想通貨の種類によっては証明が難しいケースもあるかもしれませんが、被害前後の取引所の残高を保存するなど証拠書類は残しておく必要はあるでしょう。

今月アメリカのシカゴオプション取引所でビットコインの先物取引が開始されましたが、FXの証拠金取引のように先物取引に係る雑所得等として分離課税されるのか。この点に関しては、商品先物・金融商品取引法等に基づき行われる取引のうち適用対象が限定列挙されているため、仮想通貨の証拠金取引は、これらいずれにも該当しないことから対象とはならないとのことです。したがって、分離課税ではなく総合課税として申告することとなります。

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